大学時代の同級生が あの世に旅立った
彼女は まるでしだれ桜のように華やかで美しい人だったが その開花が あまりにも短かすぎて残念でならない。癌とわかってからは ただ一人で終活をコツコツやり通し すべてを見事に片付けて旅立ったことになる。 その散り際も まるで桜の花のように潔く 散った花びらは 思いを寄せる人々にさらにその美を印象付けている。自分の病を決して口にしなかった人だから なおさら 訃報は信じられなく受け取った。それは誰もが同じ思いに心が震えたのだ。 彼女の生前の活動は周りのみんなが恩恵を受け取ることだけになっていたと言って過言ではない。めちゃくちゃしっかり者で聡明で頼れる人だったからだ。 そんな彼女の追悼演奏会を企画しています、というお話を受け取って私も参加させていただいた。錚々たるメンバーが全員 心を込めて演奏した。私もただただ 心を込めて 演奏した。
同級生とはいえ 彼女は私のことを ひろこちゃん と呼んでいた。 ふつうクラスメートは苗字でよぶのが我々の世代の呼び方だったから たいていはミキさんになる。高校時代には ミキちゃんとよばれていた。 ひろちゃんと呼ぶのは親戚とかの人。海外ではHIROKOとよびすてにする。それがやがてFrau MIKIになり 三木先生になり 今では 誰もひろこちゃんと呼んでくれない。
いつまでも ひろこちゃんと呼んでくれていた彼女の声を 忘れたくない。
ご冥福をお祈りするとともに 「ひろこちゃん、なにやってんのや~ もう~~」と言われぬように 心を入れ替えて 生きていこうとおもう。
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